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oul’s blog

主に読んだ本や漫画、見た映画の感想、その他雑記を書いていきます。

『天賀井さんは案外ふつう』1〜3巻 感想

前置き

 どうも4巻完結らしいが、なぜこのタイミングで感想を書くかというと、3巻発売のタイミングでこのマンガの存在を知ったからです。

 現在刊行中の城平京原作のマンガは『虚構推理』のみだと(勝手に)思っていたので、もう一つ別のマンガ原作(しかもタイトルから日常系っぽい印象)を手がけているとは思ってませんでした。

 調べてみると、作画を担当しているのは水野英多さんらしい、と。つまり、あの『スパイラル』のコンビが復活しているということです。『スパイラル』は自分にとって、ある種バイブルみたいなもので、未だにあのラストを超える結末を描くことに成功した作品はないんじゃないかと思うくらい、自分の中では完璧な作品なので、即買いでした。いっさい内容を確認せずに買ったと言っても過言ではありません(ぶっちゃけこのコンビの作品ならたとえ面白くなくても買うし)。

 結果から言えばとても満足度の高い作品でした。以下ではその感想を書いていきます。ネタバレを含みますので未読の方は注意してください。

全体の感想

 1巻では主に謎の提示、すなわち

  • 十年前、天賀井さんの兄と真木くんに何が起こったか
  • なぜ常伊市に二匹の化け物の体の一部が残されているのか
  • なぜ郷土史維持管理部が化け物の遺体を管理する役目を負っているのか などが提示されます。

 随分と設定盛りだくさんな内容(代々伝わる任務を負った異能の家系、十年間時間の止まった少年、二匹の化け物を祀る都市、その遺体を維持管理する謎の部活、ロボな兄、運命信仰の両親……)にも関わらず、一話で一つ謎の提示というシンプルな構成のおかげで、特に混乱することもなく読み進めることができました。  

 2巻はミステリで言うところの推理パートでしょうか。

  • 化け物の遺体の状態が良い理由
  • 西陣先生が離婚した理由
  • 真木くんが異様に冷静な理由(の一端)

が語られ、

  • 十年前何があったか
  • バランバランとタタイタタイの遺体が残された理由

が主にロボ兄によって推理されます(どうでも良いですが、メカな兄というとアニメ化→兄メカというハガレンの四コマを思い出します)。

 結局、バランバランとタタイタタイの遺物が幸福や御利益をもたらすというのは、ただの思い込み、集団心理による暗示効果が原因という結論に至るわけですが、城平さんの作品だとこの手のいわゆる物語自体が孕む問題を扱ったものが多い気がします(というかほぼ全部ではないでしょうか)。

 『スパイラル』ではヤイバと清隆が語った神と悪魔のファンタジー、『絶園のテンペスト』でははじまりの樹という神話、そして『虚構推理』ではそもそも主人公サイドが偽物の解決=虚構を構築して事件の解決していました。

 おそらく、城平京の作家性に関わるテーマだと思うんですが、そのうちきちんと考察したいところです。

 3巻はいわゆる解決編ですね。

 巻末のあとがきで「特にコメディをやろうとしたつもりです」と書かれているように、これまで提示されてきた謎の真相がすごい軽いテンションで暴かれていきます。一応人が(少なくとも外見上は)死んでいたり、真木くんの出生の秘密が明らかになったり、異世界の存亡の危機があったりと、どれも重いエピソードのはずなんですが、まったくと言っていいほど悲壮感がありません。

 十年を費やして辿りついた真相がこれだと登場人物たちが気を落としそうですが、全員どこかネジが外れているので、特に誰も大きく気にはしていません(そしてそんな特にショックも受けずに淡々と進んでいく会話が好きだったりするのです)。

 城平さんのあとがきを読む限り、この3巻は当初予定していた構想とは若干ずれた内容になっている模様です。是非とも真実を明らかにしないバージョン読んでみたかったですが、これくらい説明してくれないと絶対消化不良感が残ったよな、とも思うわけで、(本当のところどのような見込み違いがあったのかは分かりませんが)難しかったろうなと思います。

4巻

 4巻はどうなるんでしょうか。

 ミステリ的には解決編が終われば物語としてもほぼ終了ですが、どうやらあと一巻出て、それで完結らしいです。内容的には真木くんが身辺整理をするくらいしか残っていないような気がするんですが、あまり予想ができないので楽しみに待たせていただきます。

 以下、個別の要素についての感想になります。

天賀井さんが可愛い

 まあ、結局これですよね。スパイラルのひよの、虚構推理の琴子、絶園のテンペストの葉風が好きな身としては、城平さんの作るちょっとずれた可愛い系ヒロインを読みたいがために買っているというところがあるので……。

 巻を経るごとにちょっとずつやさぐれ度が上がっているところがまた良いです。最初は丁寧系で内面のつぶやきでも「真木くん」呼びだったのが、だんだんとこいつとかお前呼びが増えて内面の呆れ描写が増えていったのがツボでした。なんというか、『未確認で進行形』の小紅が身内以外に使用する口調に近いです(あれがまた私のツボでした)。

 天賀井さんの能力(骨を出して操ることができる)があまり生かされていなかったのが少し残念でした。4巻ではもっと能力の活躍の場があると期待したいです。

まどかお姉さん系キャラがやはりいた

 まず、城平京原作の作品に共通する要素として、

  • 妙に達観した男主人公(歩、史郎、九郎、吉野)
  • かわいい系ヒロイン(ひよの、伊万里、琴子、葉風)
  • クール美人系の女性キャラクター(まどかお姉さん、雪音、紗季さん、愛花)

が挙げられます(葉風と愛花に関してはハイブリッドな気もしますが、ここは便宜的に)。

表紙にはヒロインである天賀井さんと主人公(に相当するポジション)の真木くんがいるので、きっと三人目のクール美人系キャラが登場するんだろうとタカをくくっていたら、居ましたよ、西陣先生。本当に城平さん、この黄金比率好きですよね。

 個人的には、やっぱりいたという安心感でなぜか嬉しくなりました。

あとがきのクマ

 なぜか水野さんの後書き漫画で、クマの絵を見たときにすごく懐かしくなりました(うみねこは読んでないからなぁ……)。

まとめ

 その他にも色々ありますが、さすがに3巻分の内容ともなると書き出すとキリがないので、ここらで一旦閉めます。また何か思いついたら書き足すかもしれません。

 4巻が出たらまた感想を書きたいと思うので、よろしくお願いします。